社会福祉法人慈光会 認定こども園 童心園について

 認定こども園 童心園は、戦後 宝光寺第23世住職明石月潭が幼児の幸せを願って設立いたしました。

 当初より保育の願いに「思いやりのある子ども」を育てることを目標にしてきました。これを私たちは「まことの保育」というスローガンで実践しております。それは、子どもたちが、安心して、安全に過ごせる環境のなかで、心豊かに育ってくれることを願っているのです。

 「思いやりの心」というのは、みんなが幸せになってほしいということであり、それは保育者が仏さまの心を自分の心として実践していくことと思っております。保護者も子どもたちも一緒に掌を合わせることのできる人になってもらいたいと願っております。

 

社会福祉法人慈光会 理事長 明石 光麿           

童心園の教育・保育の目標・理念

ひとりひとりを不可思議な縁によって授かったかけがえのない子どもとして大切にし、すべての生きとし生きるものとともに、優しい心で強く明るく仲よく育ち合う教育・保育を実践する。

 

・日々の教育・保育を大切にする。

・子どもひとりひとりを大切にする。

・地域性を大切にする。

・園で過ごす時間を、幸せな時間だと感じられるようにする。

めざす子どもの姿

・思いやりの心をもつ子ども

・考えることのおもしろさを知る子ども

・運動するたのしさを知る子ども

園児のおやくそく

1、わたくしたちは いつも ありがとうといいます。

2、わたくしたちは いつも おはなしをよくききます。

3、わたくしたちは みんななかよくいたします。

食事のことば

食前のことば

 多くのいのちと、みなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。ありがたくいただきます。

食後のことば

 尊いおめぐみをおいしくいただきました。おかげでごちそうさまでした。

仏教園であるということ

1.「苦」

 仏教では人生を「苦」であると説きます。「苦」とはなにか? 自分の思い通りにならないことを「苦」というのです。育児もなかなか思い通りにいきません。子育ては楽しいけれどたいへんです。嬉しいけれど辛いのです。子どもの成長は喜びですが、同時に苦しみです。期待にわくわくしますが、つねに不安や心配もついてきます。しかし、「母性本能」という言葉に縛られて、育児は喜びであり楽しみであり期待すべきものであって、育児を苦だとはなかなか言い出しにくい雰囲気があります。
仏教では、「育児は苦しみ」「育児はしんどい」という点からスタートします。親として足りない部分があって当然、子育ては辛い、育児は苦だね、からスタートします。親として足りない部分を批判しないことが大切です。仏教園では保護者を評価し、批判することはしないのです。保護者の言葉によく耳を傾け、自分ができることを考える姿勢を大切にします。

2.「感謝」

 ほとんどの人が自分の人生を自分のものだと信じています。自分の「いのち」は自分の所有物だと思っています。「たった一度限りの人生」とか「悔いのない人生」「オンリーワンの人生」という言葉が巷にあふれています。
「たった一度限りの自分の人生なのだから、他人に迷惑をかけなければどういう生き方をしようと問題ない、他人からとやかくいわれる筋合いはない」と考えている人が多いように思います。
 仏教では「いのち」を自分の所有物とは考えません。多くの数えきれない不思議な縁があってこの「いのち」を仮に授かっているが、かならずこの「いのち」はお返ししなければならない時がくるものなのだ。だからその時まで、この「いのちを大切にていねいに生きていこう」というのです。仏教では、他人に迷惑さえかけなければどう生きても構わないとは考えないのです。仏教では、「自分が生きている」と考えるのではなく、おおくのいのちとみなさまのおかげにより「生かされて、生きている」のだと考えるのです。ですから仏教園では「ありがとうございます」という感謝の言葉を大切にします。常に「ありがとうございます」の気持ちと言葉を忘れないようにしましょう。

3.「不殺生」

 この地球上にはたくさんの種類の生きものがいます。可愛がられる種類の生きものもいますが、ゴキブリやムカデのように害虫として駆除される対象になるものもいます。草花でも、雑草として駆除される種類のものもあれば大切に育てられる種類のものもあります。人間は、多くの生きものを自分にとって役に立つ、役に立たない、益になる、害になるなど、損得勘定でみていきます。人間を見ていく場合でも、あの人はいい人、あの人は悪い人などと言いますが、自分の損得や利害に結びついていることがほとんどです。
 仏教では、この地球上の「いのち」あるものの価値に優劣はないといいます。すべての生きとし生けるものは平等でみな尊いというのです。しかしながら、人間は自分の都合でおおくの生きもののいのちを奪っています。そうしなければ生きていくことができないからです。仏教では殺生をなるべく避ける生き方をすすめます。園のなかでの殺生といえば、害虫駆除が主となります。
仏教園では掃除を徹底します。掃除を徹底することにより無益な殺生を避けられるからです。また、仏教園では保育用品・備品も、たいせつに丁寧にあつかうことを常に心がけます。扉を閉めるときにも、バタンと音を立てて閉めることはしません。机や椅子を運ぶ際も、引きずって移動させることはしません。保育所内の備品・用品ひとつひとつに作った人、販売した人、運んできてくれた人等たくさんの人の願いがこもっている。どれひとつとして願いのこもっていないものはないと考えるからです。壊れてゴミ・不用品として処分する際にも「ありがとう」の気持ちを忘れずに。

4.「利他」

 保育所保育指針にある「望ましい未来を作り出す力」、幼稚園教育要領にある「生きる力の基礎を育成する」とは、どのような力なのでしょうか?
弱肉強食の世界を生き抜く力? 競争社会に打ち勝つ力?
くじけない力、へこたれない力?
私たちは次のように考えます。
人がそれぞれ持って生まれた能力には差があり、皆が一番やオンリーワンになれるわけではありません。いくら努力をしてもかなわない事もたくさんあるのです。人生はひとりひとりみな違うのです。
子どもたちが、社会人となり家庭をもった時に、家庭・職場・地域社会のなかで、誠実であり、だれからも信用され、頼りにされる人であること、また、悲しんでいる人や苦しんでいる人、自分より弱者だと感じられる人に対して共感でき自然に手を差し伸べることができる人、そういう生き方のできることを尊いと考えるのです。自分の人生のなかに、常に他者の幸せを考えることができて、強く明るく生き抜くことができる力が育つことを大切にしています。

5.「布施」

 仏さまの教えのなかに「無財の七施(施し)」というお話があります。財産がなくてもできる七つの施しという意味です。みなさんに身につけてもらいたいと願っている事です。簡略に紹介しておきます。
1眼施(げんせ) やさしいまなざし
2和顔悦色施(わげんえつじきせ) 笑顔、和らいだ顔
3言辞施(ごんじせ)気持ちを込めて相手の立場になって考えて話す。
4身施(しんせ)自分の体を使って人にして差し上げること。
5心施(しんせ)思いやりの心を表すこと。気配り。
6床座施(しょうざせ)席や場所を譲ることができる。
7房舎施(ぼうしゃせ)〃
以上が「無財の七施」の内容です。
この七施を保育現場の保育士向けにアレンジされたものに『4つの「める」と3つの「ずく」』があります。
1.褒める、2.見つめる、3.認める、4.確かめる
1.うなずく、2.気づく、3.続く(続ける)
この4つの「める」と3つの「ずく」は保育士として非常に大切な姿勢です。